アゲハチョウの飼い方
アゲハチョウは室内飼育ではやや手間がかかりますが、卵から成虫まで飼育でき、 サナギから羽化した姿には大変魅了されます。蝶の飼育は、基本的にはキャッチ& リリース、つまり卵から成虫になったら逃がしてあげる、成虫が卵を生んだら 逃がしてあげるのがベストだと思います。
アゲハの卵を入手する
アゲハチョウは日本中に生息しているので、大体どの地域でも探すと見つけられると 思います。ミカンやカラタチ、キンカンや山椒などの木の葉に白い卵を産み付けるので 春から夏にかけて見つけられます。
キンカンが最も卵を見つけやすいと思います。ベランダや自宅の庭にキンカンを 植えるのが最も確実です。小さい木でもOKで、ほぼ毎年卵を産んでくれますよ。それほど大きい木でなく ても、蝶は来てくれます。木の高さは1m以上あれば平気です。四月以降から 葉の表面や裏側をつぶさに観察します。
葉に2、3mm程度の白くて丸い物が付いていたら、それがアゲハチョウの卵の 可能性が高いです。またアゲハチョウの仲間の卵の可能性もあります。いずれにせよ まず蝶の卵なので、経過を観察しましょう。
卵が大きくなったり、色が黒くなってきたら孵化が近いです。卵が徐々に大きくなって幼虫が 出てくれば成功です。エサは基本的に葉っぱのみを食べるので、ユズや山椒といったミカン科の 植物の葉が必要になります。調達が難しいので、自宅の敷地内にミカン科の木があるような ご家庭でないと厳しいですね。
孵化してすぐの幼虫。鳥の糞に擬態しています。アゲハチョウの幼虫は、屋外の木で育つのが自然ですが、どうしても鳥に食べられやすく、 それほど数は残らないのが現実です。屋内で飼育すれば鳥などの外敵に襲われないので 数は減りにくいです。
成長したアゲハの幼虫。葉に擬態して、外敵の鳥に見つかりにくいようにしています。屋内飼育の場合は、大きめの飼育ケースや水槽に入れて飼います。ミカン科の葉の付いた 小枝をエサとして入れます。(食草といいます)幼虫は意外と葉を食べるので毎日葉っぱの 交換をします。
アゲハの幼虫は、およそ30日程度で成長を終えてサナギになります。外気温によって サナギから成虫になる期間は変化します。真夏なら2週間で成虫になりますが、秋に生まれた 幼虫は、サナギのまま越冬も可能なので、外気温と同じ環境で飼育するのが大事ですね。
サナギから成虫までは完全に自力で羽化しますので、経過を見守りましょう。サナギから 成虫が出てきても決して触らないでください。羽を痛める恐れがあります。羽化して 飼育ケース内を飛び回るようになれば、もう室内飼育は卒業です。アゲハチョウを外へ 逃がしてあげて、自然に帰らせてあげましょう。
こうして見ると、アゲハチョウも卵から孵化して過酷な自然環境を生き抜き、羽化して 産卵していくサイクルを体感できますね。普段何気なく見るチョウからも命の尊さを 感じさせられます。
羽化の失敗
屋外でサナギから羽化する際、暴風雨や強風の影響で羽化に失敗する個体もいます。 羽化に失敗すると羽はしおれた状態になり、飛べない状態の成虫になります。 こうなると自然界では生きていけませんが、もしそういった個体を見つけたら 人間の手である程度生きながらえさせることも可能です。
羽化に失敗した個体は、自分で飛べないので、花の蜜までたどり着けません。そこで、 ポカリスエットやアクエリアスを5倍程度に薄めたものをティッシュに吸わせ、チョウに 与えれば、チョウの管状のクチから吸えます。
1日に1回以上、これを飲ませれば延命はできます。アゲハチョウの成虫の寿命はおよそ 10日から15日程度です。寿命まででも飼育してあげるとアゲハチョウも寿命を全う できるかと思います。