クワガタの飼い方
クワガタはカブトムシと同様に飼いやすく増やしやすい昆虫です。国産のクワガタなら日本の 風土に合っていますので無理なく育てられます。ただオスのクワガタには指を挟まれると 結構痛いので気を付けましょう。
クワガタの飼育箱
クワガタを飼うのには、まず飼育用のケースが必要です。市販されているプラスチック製の 容器を使いましょう。100円ショップでも売られている、昆虫用ケースが最適です。 飼育ケースは小さいよりも、なるべく大きい方がいいですね。
成虫のクワガタ1匹につき、飼育ケースができるだけ1つずつ必要になります。 飼育用ケースは横幅が30cmくらいの大きさが理想的で、この大きさならクワガタを 繁殖させて増やすことも可能です。あまり小さいケースだと飼育だけなら可能ですが、 狭すぎて繁殖は難しいですね。
100円ショップで販売されている、カブトムシやクワガタの飼育セットも十分使えます。 クワガタ用マット(黒くて柔らかいおがくず)、とまり木、エサ台が必要で、さらに クワガタは湿気を好むので霧吹きが必要です。(これも100均で新品を)
クワガタの飼育環境を作る
まずはクワガタの飼育をするための環境を作りましょう。空の飼育用ケースに、昆虫用 マットを敷き詰めていきます。これは朽ちた木を細かくしたもので、吸水性がありクワガタの 生息に適した素材です。クワガタ用にしっかりと湿らせる必要があります。
マットの厚みは厚いほど良いですが、繁殖させる場合は10cm以上にしましょう。これは メスがマットに潜って産卵するため、産卵スペースを確保するためですね。繁殖させず、 飼育するだけならマットは薄めでも大丈夫です。
まずマットを新聞紙かタライに開けて、霧吹きで全体に水分を加えます。手で固められ るくらい、団子が作れるくらいに、しっとりとした感じにしてから敷き詰めていきます。 マットは下半分はやや固めに詰めて、上半分は柔らかく敷き詰めておきます。これは マットの通気性を良くする為の工夫です。ぜひ実践してください。
発酵マットの場合は、そのままでは昆虫用には向きません。開封してバケツ等に入れて、 1週間ほど蓋をせずに屋内で保管して発酵ガスを完全に抜いてから使用して下さい。
マットを敷き詰めたら、その上にクワガタ用のとまり木、エサ台を任意の場所に置いて完了 です。クワガタを入れてあげましょう。
なおクワガタは湿気を好むので、常に少し湿った環境を作りましょう。具体的には、マットの 表面が乾いたら霧吹きで水を吹いて湿らせておきます。(普通の水道水で十分です。) 飼育ケースは、年中日陰で涼しい所に置いてください。
飼育ケースのフタには、爪楊枝で複数の穴を開けたビニールや新聞紙をかけて、中の 水分が抜けないようにします。
クワガタのエサ
クワガタには、カブトムシ同様に昆虫用ゼリーを与えるのがベストです。 ほかにもバナナなどを与えるのもOKですが、夏場は腐るのが早いので、 ゼリーの方が楽ですね。栄養面でも優れていて開封しても日持ちします。 このゼリーも100円ショップなどでまとめ売りされていますのでストックしておきましょう。
エサ台にエサやゼリーを載せておくだけで、あとは勝手に食べてくれます。なお 昆虫用ゼリーは約5日おきに取り替えます。昼間に食べていなくても、夜行性なので 夜の間に食べていることが多いですね。
クワガタの大きさや種類によって食べる量やペースも異なるので、チェックして 常にエサを切らさないようにしましょう。
クワガタ1匹ならエサは一つでかまいませんが、ケースに2匹以上いるならエサも2個以上 置いてください。夜中にエサの奪い合いを防止するためです。エサの奪い合いが無いと、 クワガタの寿命も短くならずに済みます。
クワガタの習性
オスの気性は荒い方なので、1つのケースにオスを2匹以上入れると争います。オスが多いと 争ってそれぞれ寿命が短くなるので注意しましょう。エサやメスの奪い合いも起きやすいです。
またクワガタは他の昆虫同様、人間に触れられるのを好みません。あまり触れるとストレスで 早めに死んでしまうので、長生きさせたい場合はなるべく触れないようにしましょう。
夜行性なので、昼間より夜に活発に動きます。また直射日光はあまり好まず、日陰に 生息する生物です。特に湿気を好み乾燥した場所は苦手です。エサを食べたり交配も 夜間に行うことが多いですね。
繁殖を狙うなら、クワガタの場合は飼育ケースにはオス1匹にメス1匹で飼うことがベストです。 ただしオスがメスを攻撃することがあるので、攻撃するようなら日を変えたり、個体を変える 工夫も必要です。5日程度は一緒にする必要があります。 メスは夏の間に地中に潜って産卵します。産卵数は品種や環境、個体差により異なります。 メスが潜ってもマットを掘って探したりしないでくださいね。
なおオオクワガタなど一部の品種は、土中の木に卵を産む習性があるので、産卵用の ホダ木、くぬぎ材(産卵木)を埋めておくと安心です。産卵木は通販でも購入できます。
卵は約5週間ほどで孵化し、幼虫が生まれます。幼虫はケース内のマット(おがくず) や腐葉土を食べて成長します。地中で越冬して6月くらいからサナギになり、 さらに約1ヶ月~2ヶ月かけて成虫になります。成虫は寿命が約1ヶ月~2ヶ月で、 その間に交配して卵を残します。
クワガタのハサミは、木の蜜などのエサを取る際、他の昆虫を排除するのに使います。 かなり攻撃的な性格なので、指を挟まれないように注意しましょう。けっこう痛いです。
クワガタの繁殖
飼育ケースにオス1匹、メスを1匹入れておけば簡単に繁殖できます。5日程度で自然に交配して メスがマット内に卵を産んでいきます。飼育ケース内の成虫がやがて死んだら、 飼育ケースから捨てて、残った昆虫マットの中に卵や幼虫がいないか探しましょう。
飼育ケース内の昆虫マットを全部、広げた新聞紙にひっくり返します。卵は白色の BB弾のような感じです。直径は3mmから5mmで、孵化が近いほど大きくなります。 幼虫は白い芋虫のような感じで、小さく丸まっています。卵と幼虫は分けましょう。
卵は、再度飼育ケースで孵化させます。昆虫マットをケース内に20cm以上はギュッと 詰めて、マットの上に小さくくぼみを付けて中に卵を載せておきます。こうすると卵の呼吸が 楽になり、ふ化率が高まります。
卵から生まれた幼虫は自然にマットのなかへ潜っていき、マットや腐葉土を食べて成長 していきます。卵は飼育ケースに最大10個くらいいけますが過密になりすぎないように 孵化させます。
マット内にすでに幼虫がいた場合は、成虫になるまで飼育ケースに3,4匹程度飼えます。 幼虫はマット内にまばらにそっと埋めてあげましょう。マット上に置いても勝手に潜っていきます。
幼虫はマットや腐葉土を食べながら、マットの上にフンをしていきます。フンはこまめに 捨ててあげましょう。さらに定期的にマットに霧吹きをかけて水分を与えます。 飼育ケースのフタに買い物袋などのビニールをかけて、爪楊枝で20ヶ所ほど穴をあけて 水分の蒸発を防ぐと、より効果的です。
クワガタの幼虫は気温によってエサを食べる量が変化します。9月下旬までそのままに しておき、10月~11月末までは2週間おきに新しいマットに交換しましょう。 これはエサになるマットを新鮮にして補充する目的があります。
11月~3月末までは幼虫はエサを食べません。マットの表面が乾燥しないように霧吹きを 定期的に吹いて湿度を保ちながら見守りましょう。なお飼育ケースは廊下や玄関など、 屋外に近い気温の場所に置いて、暖かいところには置かないようにします。
4月に入って気温が暖かくなると、幼虫は活動を再開してエサのマットを食べだすので、 2週間に1回、ケース内マットの交換をしていきます。この頃には幼虫もかなり大きくなって います。フンも大きくなるのでこまめに捨ててあげましょう。
6月ごろからクワガタは幼虫からサナギになります。パタッとフンがマット上に出なくなったら サナギ化の合図です。幼虫がサナギ室(蛹室)を作ってサナギになりますので、一切ふれずに 羽化するまで見守ってあげましょう。
マットの表面の乾燥のみ防ぎながら、クワガタの羽化を待ちます。マットは掘らず、羽化した 成虫のクワガタがマット上に出てくるのは7月上旬頃です。卵から成虫まで育てたクワガタ には大変愛着がわきますよ。
成虫になったクワガタはすぐに争いだすので、幼虫の時点でガラスの小瓶に1匹ずつ分けて 育てる方法もあります。たくさん育てる場合は1L程度のガラス瓶がベストですね。 外国のクワガタはちょっと難しいので、まずは国産クワガタからトライすることをお勧めします。