ヘルマンリクガメの飼い方

ヘルマンリクガメ・ベビー

ヘルマンリクガメは、陸に生息するリクガメ(陸亀)の中でも、最もペットに適した品種の カメです。リクガメは大きいイメージがありますが、ヘルマンリクガメは最大でも35cm程度の個体が ほとんどです。それほど大きくならない品種なので場所もとりません。

実はヘルマンリクガメも種類があります。最も小さい種類のダルマティアヘルマンリクガメ(17cm程度)、 ニシヘルマンリクガメ(19cm程度)、最大種のヒガシヘルマンリクガメ(35cm程度)があり、それぞれ 地中海域原産です。そしてブルガリア産のブルガリアジャイアントヘルマン(33cm)もいます。 ブルガリアジャイアントヘルマンは他のヘルマンリクガメよりも甲羅の色が明るいのが特徴ですね。

ブルガリアジャイアントヘルマンの成体
ブルガリアジャイアントヘルマン
 

現在は生息数が減少傾向にあり、乱獲を防ぐため生息域での捕獲や輸出が制限されており、 野生種はほぼ入手不可能で、国内や海外でブリードされたヒガシヘルマンリクガメが多く流通して います。小さい個体はダルマティア等の混血種の可能性もありますが、国内で買えるのはヒガシ ヘルマンリクガメ、ニシヘルマンリクガメ、ブルガリアジャイアントヘルマンの3種類になります。

ヘルマンリクガメの成体
ヘルマンリクガメの成体
 
名称 ヘルマンリクガメ
英語名 Herman's tortoise
分類 カメ目 リクガメ亜科
相場価格 1匹17,000円~45,000円(サイズ、品種による)
成体の全長 約20cm~30cm(品種と年齢による)
カメの性格 とても温厚で人懐っこい
習性 草を好む雑食。歩き回るのが好き。寒いのと高い湿度は苦手。
適温 気温25℃~30℃
飼育しやすさ 飼いやすいが寿命が非常に長いので注意が必要。
寿命 約30年以上(環境による)
入手しやすさ 比較的入手しやすいが輸入は減少傾向。
適したケージサイズ 幅、奥行き共に90cm以上。暖かく換気の良い場所が望ましい。
繁殖難易度 繁殖は難しい。経験が必要。

ヘルマンリクガメを飼う前に

高さのある甲羅に愛嬌のあるヘルマンリクガメ。場所もとらず、音も出さないので静かに 飼えて、飼育は容易ですが、いかんせんカメは長寿命です。環境がよければ30年以上 生きる品種なので、やはり飼う前には「寿命まで飼う」決意が必要です。海外のカメには 寿命が150年以上という品種もいます。

カメを飼いきれなくなって、外に捨ててしまう事例が後を絶ちません。ヘルマンリクガメは 外来種ですので日本の自然に離してはいけませんので飼い主の手で処分するか、 ペットショップで引き取ってもらうことで手放すこともできます。

ヘルマンリクガメの値段

ヒガシヘルマンリクガメ<ニシヘルマンリクガメ<ブルガリアジャイアントヘルマンの順で高くなります。 またサイズが小さいほど安いですが、ベビーは温度管理をしっかりしないと死なせてしまいやすい です。最も丈夫なのはヒガシヘルマンリクガメなので、10cm以上の大きさをお勧めします。

ニシヘルマンリクガメはデリケートな品種なので、初心者にはお勧めしません。安くて丈夫な ヒガシヘルマンリクガメなら万人向けだと思います。

ヘルマンリクガメを買ったら

ヘルマンリクガメを購入したら、カメの生息の為の環境を整えてあげましょう。リクガメの生息には 「保温」が重要です。ヘルマンリクガメには水槽がお勧めで、またエサはリクガメ用フードと 緑黄色野菜を与えます。

エアコンのある、換気も可能な部屋でヘルマンリクガメを飼いましょう。湿気を好まないので 乾燥した環境で飼育します。騒音や振動もカメのストレスになりますので、静かで年中暖かい 環境でないとリクガメは飼えません。

リクガメなので、水に入っても泳ぎません。野菜は小松菜の他にもタンポポの葉も食べます。 人口のエサのみだと高カロリーなので、野菜中心にエサを与えるようにしましょう。 水分も野菜から取るので、飲み水は僅かで大丈夫です。

ヘルマンリクガメ用ケージ

手に乗せたヘルマンリクガメの子供

ケージは60cm水槽または90cm水槽が理想的です。水槽ならカメが逃げないですし、保温、 保湿の面でも優れています。ヘルマンリクガメは寒さに強いほうですが、それでも年中を通して 水槽内の気温は28℃~30℃あるのが理想的です。これはどのリクガメも同じですね。

湿度は約55%が目安です。ヘルマンリクガメの場合は湿度70%以上にはならないように して飼育しましょう。(一時的には大丈夫ですが。)湿度は霧吹きを水槽の内側に吹きかけて 調整します。気温は爬虫類用ヒーターと紫外線ライト、蛍光灯で調整します。

水槽内を昼間は平均30℃、夜間でも26℃以上になるようにします。最初の頃はエアコンに頼るのが 無難ですが、底に敷く爬虫類用ヒーターと水槽用フタ、温湿度計は必須になります。 真冬に最低でも20℃以上になる環境でないとヘルマンリクガメの飼育は難しいですね。

また床材ですが、細かくない大粒のヤシガラが適しています。適度に保湿、保温ができるので 底に薄く敷き詰めるのがベストです。目の細かい床材は足が沈んでカメが歩きにくく向きません。

ケージには紫外線ライトとヒーター、エサ入れ、床材、温湿度計、保温用のフタが必要になります。 リクガメは設備に少々お金がかかりますが、どれも長持ちするものばかりですよ。

ヘルマンリクガメのエサ

人口のリクガメフードがありますが、カロリーが高いので緑黄色野菜を中心に与えましょう。 小松菜、タンポポや大根の葉、柔らかいニンジンも食べます。食べ残した野菜でもOKです。

スイカやバナナも食べますが少量でいいです。水分の多いエサはカビの元になります。 野菜8割、配合飼料2割くらいが丁度いいかと思います。またエサには爬虫類用カルシウム パウダーをまぶしておくと甲羅の成長に役立ちます。

カルシウムパウダーとは、爬虫類用サプリメントでカルシウムとビタミンDやマグネシウムも配合 されている商品が理想的です。またリキッドタイプならカメの飲み水に混ぜて使うことも可能です。 ビタミンDはカメの成長を助けるので、各社から出ているサプリメントをご使用ください。 なお過剰摂取は逆効果なので、用量を守って与えてくださいね。