アカヒレの種類と飼い方

ヒレの赤い魚

アカヒレは淡水魚の中でも最も安価ながら、群詠する姿は非常に美しく、また大変丈夫で特に 生命力が強いので、熱帯魚の初心者にも飼いやすい魚です。なおアカヒレは金魚やメダカと同じく、 温帯地域に生息する「温帯魚」に分類されます。

中国原産の魚で、高水温、低水温にも非常に強いですが健康に飼育するなら水温26℃で飼うのが ベストです。無加温でも飼育できなくもないですが、メダカほど低水温に強い訳ではないので、 水温は10℃~30℃以内で飼うようにして下さい。18℃固定の金魚用ヒーターもアカヒレに使えます。

アカヒレは背ビレと尾ヒレが赤い為、この名前が付いています。外観はメダカやテトラに似ていますが コイ科の仲間です。子供のアカヒレはネオンテトラにかなり似ていますが、成魚になると色が 変わってきますね。サイズは3~4cmになります。

なおアカヒレは冬眠しません。寒冷地での屋外での飼育はオススメしません。できるだけ屋内で 飼うのがベストですね。ただ暖かい地方なら外でも飼えます。

名称 アカヒレ、コッピー(俗称)
英語名 White Cloud Mountain minnow、Chinese Danio、Canton Danio
分類 コイ科 淡水魚
相場価格 1匹100円前後(ブリード)
成魚の全長 約3~4cm
魚の性格 おとなしい(繁殖期を除く)
習性 群れを好む。群泳、他魚との混泳可。なお冬眠は不可。
適温 水温10℃~26℃
適したph 約6.5~8.0
飼育しやすさ 最も飼育しやすい
寿命 約3~5年程度(環境による)
入手しやすさ とても入手しやすい
適した水槽サイズ 30cm~60cm水槽。1匹2Lから可能
繁殖難易度 とても繁殖させやすい。自然繁殖可。

アカヒレの種類

昔からポピュラーなアカヒレですが、大きく分けて4種類になります。まずはお店で見かける 普通のアカヒレ、ベトナムアカヒレ、ゴールデンアカヒレ、ロングフィンアカヒレになります。 他にもアカヒレにそっくりな品種もありますが、原種のアカヒレから派生した品種のみ紹介します。

ベトナムアカヒレ

地味な色のアカヒレ

ベトナム産のアカヒレ。中国原産の通常のアカヒレと比べて小柄で、色も少し暗く地味になります。 低温には弱いので、18℃以上の水温で飼育したほうが断然楽です。やや小柄な代わりに、泳ぐ速度は ブリードされた普通のアカヒレよりも速いのが特徴。混泳も可能です。

画像の個体はかなり上物なのでかなりキレイに見えますが、お店で見るベトナムアカヒレは もう少し暗い感じですね。

ヒレが長く、鑑賞価値も高いです。やや珍しい品種なので1匹300円程度になります。 ベトナムアカヒレはヒーターが必要な熱帯魚になるので冬場は注意してください。

ゴールデンアカヒレ

黄色い色のアカヒレ

アカヒレの突然変異種で、体色が金色、ヒレが赤い品種です。色が違う以外は通常のアカヒレと 全く同じ飼育方法で飼えます。現状ではまだ流通量は多くなく、1匹400円程度が相場です。 色の濃さも個体差が大きく、産地によってやや異なるようです。

淡水魚でこれだけ黄色い品種は珍しく、なかなか見れません。扱っているお店もまだ少ないので 通販で入手するのが現実的ですね。大きめの水槽でも冴える美しさです。 またゴールデンアカヒレはノーマルよりも目が青いので、アップで見ても楽しいですよ。

なお同じく突然変異で体色が白いアカヒレも流通しており、白いタイプも「ゴールデンアカヒレ」と して販売されています。(アルビノとは違います。)

ロングフィンアカヒレ

ヒレの長い、2匹のアカヒレ

アカヒレのヒレが長くなった変異種。こちらもなかなかレアで、優雅な泳ぎを堪能できます。 鑑賞価値が高く価格は700円~1000円と、アカヒレとしては最も高価な品種です。

このロングフィンタイプは、大部分の観賞魚で見られる珍種です。泳ぐ姿がなかなかに 優雅ですが泳ぐ速度はやや落ちるため、水槽にはロングフィンだけで飼う方が他の魚に エサを取られにくいです。

アカヒレ(ノーマル)

アカヒレのオス

熱帯魚店ならだいたい置いてある、通常のアカヒレ。価格も100円程度と買いやすく、長年飼っても あきにくい品種といえます。初心者はまずこの通常タイプから始めるのが無難ですね。 いわゆる「コッピー」もこの品種になります。

最も入手しやすいノーマルのアカヒレですが、良い水質管理のもとで飼いこめば、発色がさらに 良くなり、鑑賞価値も上がります。他の魚でもそうですが、健康なほどよい色になるので まずはじっくりと、丁寧に飼育してみて下さいね。


アカヒレの水槽を用意しよう

アカヒレの飼育には、まず水槽が必要です。小さい容器でも飼えなくもないですが、鑑賞に適した 水槽がオススメです。金魚用の水槽がアカヒレにも使えます。お店で売られているアカヒレは だいたいはヒーターを使用して熱帯魚と同じように扱われている場合が多いです。

空の水槽に水道水を入れて、規定量のカルキ抜きを入れます。これは水道水の塩素は魚に害があるので、 その塩素を取り除く為の薬品です。薬品自体は魚に悪影響はありません。水をよくかき混ぜたら、 今度は水槽用ヒーターを入れて水温を18~26℃にします。水槽は最低でも9リットルは水が入る物を。

アカヒレをお店で購入

アカヒレは熱帯魚店で販売されています。または通販でも購入可能です。相場は1匹100円程度ですね。 まとめ買いだと安くなりますが、最初は3~5匹程度と少な目にした方が失敗も少ないと思います。

アカヒレを購入したら、水槽に移します。ただし水温に注意しましょう。水槽の水にアカヒレの入った 袋を浮かべて、水槽の水とアカヒレの入った袋の水の水温がほぼ同じになるように、20分程度放置 します。

次に、水槽の水をアカヒレの入った袋に徐々に移していきます。これはアカヒレに水槽の新しい水に 馴れてもらう為ですね。袋の水が倍程度になったら、袋の水ごと水槽に全部移します。 これでアカヒレの導入は完了です。

アカヒレを水槽に入れた初日は餌やりせず、翌日から餌を与えるようにしましょう。 魚は環境が変わるとストレスになるので、エサをすぐにあげるのは消化不良の元になります。

エサは少な目にあげよう

アカヒレはコイ科の仲間なので食欲旺盛で雑食ですが、エサは少な目にあげた方が健康に良いです。 「キョーリンひかりプチ」なら、1匹あたり1日3粒を目安にあげて下さい。他にも魚のエサで小粒 ならだいたいは食べます。赤虫やミジンコも好物ですね。

アカヒレを複数飼っている場合、全員にエサが行き渡るように小分けにあげるとベストです。 アカヒレが太らず、痩せない程度に量を調整しましょう。

水換えは1週間に1回程度

アカヒレの水槽は、魚のフンや尿で汚れていきます。水の汚れに強い魚ですが 週に1回、水槽の水を1/3程度、新しく入れ換えましょう。

先に水槽の水を1/3程度バケツにいれて捨てた後、今度はバケツに水道水を入れて カルキ抜き入れておき、水温も水槽の水とほぼ同じにします。これは給湯器で 調整しましょう。

半年もすると水槽にコケが生えてきたり、底にヘドロが溜まってきます。 そのときはアカヒレを他の容器に移し、水槽を丸洗いして大掃除します。

水槽の水を全部抜いた後、水道水で隅々まで洗います。洗剤は一切使わずに 水だけで洗います。底砂も水洗いしましょう。

アカヒレのオス・メス

アカヒレのオス
ヒレの赤い魚

アカヒレはオスもメスも外観が似ています。色も同じですが、オスは細身で尾ひれの付け根付近が 太いです。

アカヒレのメス
ヒレの赤い魚のメス

メスは卵を抱えているのでやや体が丸く、尾ひれの付け根が細いです。見慣れてくると見分けるのが 容易になりますが、幼魚のアカヒレの性別判断は難しいですね。


アカヒレの水槽とレイアウト方法

アカヒレ水槽

アカヒレは全長3cm~4cmの小型魚なので、比較的小さい水槽でも飼育する事ができます。 しかし水量が少ないと魚を健康的に飼育するのは難しいので、ある程度大きい水槽を使うのが理想的です。

具体的には、最低でも5Lは水の入る水槽ですね。アカヒレには30cm水槽または45cm水槽、そして 60cm水槽なら20匹は飼えます。

30cm水槽というのは、横幅30cmの小型水槽の事で、一般に水槽は横幅のサイズで「○cm水槽」と 呼びます。30cm水槽なら水量9L、45cm水槽は13L、60cm水槽は60L程度の容量になります。

最も扱いやすいのは30cm水槽で、安くて丈夫で軽く、丸洗いも大変しやすいです。 初めてアカヒレなどの淡水魚を飼育する方には30cm水槽がオススメです。 金魚用水槽として販売されていることが多いですが、もちろんアカヒレなどの小型魚にも使えます。

アカヒレ水槽も価格はピンキリです。

水槽といっても、値段に幅があります。最も安いタイプの水槽はガラスの他にプラスチックやシリコンが 使われているタイプで、見栄えは劣りますが軽くて丈夫です。また割れにくい構造なので初心者向けです。

高い水槽は「フレームレス水槽」といって、プラスチックフレームの無い全面ガラスになります。 とても見栄えが良く、鑑賞には最適な水槽ですが、かなりデリケートでヒビが入りやすいです。 扱い方がやや難しく、角が欠けやすくて重い難点もあり、値段も高いです。

初めてアクアリウムに挑戦する方は、なるべく安い水槽を使いましょう。具体的には30cm水槽なら 二千円以下の物で充分です。安い水槽は軽くて割れにくく、持ちやすいのでオススメです。

水槽の種類

水槽はガラス、アクリル、プラスチック水槽など、種類がありますが一般的なガラス水槽がベストです。 ガラスはキズに強く、透明度が高いです。アクリル水槽は軽くて割れにくい反面、透明度はやや劣りますし、 水分で僅かに湾曲して膨らみます。プラスチック水槽は丈夫ですが上からしか鑑賞できません。 アカヒレにはガラス水槽がオススメです。

水槽の底砂

水槽の底はガラスまたはプラスチックになっています。そのままでも使用できますが、底砂といって 水槽の底に入れる砂を敷き詰めると見栄えが良くなります。底砂は熱帯魚店やホームセンターの 熱帯魚コーナー、または通販でも購入できます。

底砂はたくさん種類があり、一般的な「大磯砂」、「ソイル」、「田砂」、「セラミックサンド」、 「ガラスサンド」などがありますが、アカヒレには大磯砂かソイル、黒系のガラスサンドをオススメします。 ただしソイルは初心者向けではない(水質が変化する)ので、初心者は大磯砂を使いましょう。

アカヒレの保護色機能

アカヒレは周りの色に合わせて体色が明るくなったり暗くなったりします。これを「保護色機能」 といいます。 日本のメダカと同じですね。なので、水槽にはやや暗い色の底砂を入れると体色が濃くなるのでオススメです。 大磯砂か、それより暗い色の砂を入れると良い感じになります。

反対に明るい色の砂を入れるとアカヒレの体色が薄い感じになります。色が薄いとやや見応えがないかも しれません。

なお、1度色が濃くなっても環境が変わればまた体色が徐々に変化します。1日あれば変わりますので、 砂を変えて好みの濃さを見つけるのも良いかも知れませんね。

なおアカヒレの突然変異種「ゴールデンアカヒレ」は色があまり変わりませんので、お好きな色の 底砂を入れても大丈夫です。

水槽用フィルター

アカヒレはタフな魚なのでフィルターが無くても問題なく飼えますが、フィルターを使うなら エアーポンプを使った通常の投げ込み式フィルター、またはロカボーイがオススメです。 もちろん上部フィルターや底面フィルターも使えますが、過密飼育しないかぎりは 不要だと思います。

アカヒレ水槽レイアウト

水槽の見栄えを良くするには、底砂を敷くわけですが、水槽の手前側を低く、そして奥側を高くして 斜面を付けると小さい水槽でも奥行き感がでて立体的に見えます。水草もあると良いですが、 水槽用ライトなどで明るくしないと枯れやすいです。

枯れにくい陰生植物である「ウィローモス」か「アヌビアス・ナナ」だと枯れにくいですが、 アヌビアス・ナナは水流がないと枯れますので注意が必要です。

水草の他に木の枝や、石を水槽に配置すると見栄えが良くなります。基本は水槽の中心よりも左右に 草や石を配置し、両端にに背の高い物を置くと安定感がでます。この辺りは経験が物を言うので いろいろチャレンジして下さい。

水槽用ヒーター

アカヒレは室内ならヒーター無しでも飼えますが、健康に育てたいならヒーターを使って下さい。 水温を常に18℃~26℃にしておけば、冬にアカヒレが弱ることもありません。 無加温ですと室温に応じて水温も上下するので魚には好ましくないです。

水温が安定しているとアカヒレの活動も安定するので、食べるエサの量も安定するので 飼育も楽ですし、水換えの周期も週に1回、規則正しく管理できます。

水槽はコケが生えます。

アカヒレに限らず魚を飼っていると、やがて水槽に自然とコケが生えてきます。時々は水槽用スポンジで コケを取り除きますが、アカヒレは雑食でコケも好物でよく食べます。食べないコケもありますが、 あえて少しコケを残してあげるとアカヒレのエサになります。

30cm水槽は半年に1度は大掃除を

水槽は底部分に汚れが溜まりやすいです。底砂の中に入った汚れなどはやがて溜まって蓄積するので、 半年に1度くらいは水槽の大掃除をしましょう。アカヒレを他の容器に移し、水槽の水を全部抜いて (水はバケツにある程度残します。)水槽を水道水で隅々まで洗います。底砂も手で掻き混ぜると 中の汚れがキレイに取れます。

ソイルの場合はそっと洗わないと潰れて粉になるので、丁寧に洗います。水道水でキレイにコケも 汚れも取れたら、バケツに残した水槽の水をいれて完了です。

この丸洗いは30cm水槽なら簡単にできますが、45cm水槽は底砂も取った方が安全ですね。 60cm水槽は重いので丸洗いは難しいので、数年ごとに行うのが現実的です。水替えの際にできるだけ 汚れを取るようにしましょう。